『Behind the Curtain』
カーテンの裏側を描く実験的心象小説
第1話 「イグカフェにて」(トキオとリオの出会いを描く)
第2話「ココがどこかでなく、キミがだれか」
第3話「英次」(英次の失踪は謎に包まれていた)
「ココがどこかでなく、キミがだれか」より
日曜日
鮮烈な光のあとに地響きがした。近い。乗客は一斉に閃光の方に顔を向ける。僕も吊り革を握った手を持ちかえて振り返った。宇多野から乗ったバスだから、方角を考えると京都駅あたりだろうか? しばらくすると雲一つなかった青空にむくむくとキノコ雲が湧き上がった。そして雲は今まで見たことのない高さにまで成長した。ざわつく車内をよそに、そのとき僕は別れた妻のことを思い出した。終末とはこういうことか。いくらでも他に楽しかった思い出があっただろうに、よりによって。
「英次」より
仕事から戻ると、玄関の扉の内側に一通の葉書が落ちていた。それは加地英次くん宛てに出した僕の葉書への返信だった。ペン習字のお手本のようなのびやかな字で宛名が書かれているその葉書の差出人は、英次くん本人ではなく、彼のお母さんだった。
暑い日々が続いていますが、お健やかにお過ごしのご様子、何よりと存じます。英次へのお便りありがとうございました。生きていたなら彼もどんなに喜んで同窓会に参加したことでしょう。友人を大切にする子でしたから。還暦なんですね。おめでとうございます。残念です。彼は二八歳の十二月に他界いたしました。何人かの方から、逢うのを楽しみにしているとお便りをいただき、胸が熱くなりました。三十二年前の悲しみが消えることはありませんが、寿命と運命は神の采配と私自身言い聞かせて、独り暮らしを続けております。
どうか、友人を大切に常思っていた英次を思い出してやってください。そして命を大切になさってください。
皆様のご健勝を祈念しております。よろしくお伝えくださいませ。
大きさはは文庫本A6サイズです。
『トキヒトネコ』
どこかノスタルジーを感じさせてくれる(旨み)が醸成された醤油系恋愛小説
醸成された醤油系小説。どこか懐かしく、どこか切ないストーリー。全3話です。巻末には「名前のない喫茶店」の英語版「UNNAMED」がやさしい英語で掲載されています。辞書なしでぎりぎり読めると思うので、京都が舞台の小説を英語文化でお楽しみください。
第一話 「名前のない喫茶店」
(京都のとある喫茶店にまつわる僕の思い出)
第二話「ヤンとラッシー」
(塾講師の「僕」と生徒が拾ってきた子猫とヤン)
第三話「鉄筆少女」
(不思議な女の子「カコ」 との出会い)
※サンプルページあります→https://copperleaf.jimdofree.com/samples/
オマケ
「Unnamed」(英語:左開き)第1話「名前のない喫茶店」の英語バージョン。易しめの英語で書かれています。英語で読むとまた違う印象になると思います。ぜひお読みください! This is a fiction story written in easy English based on my real experience. Thank you.
『SIX』
将棋を知らなくても楽しめる将棋AIが主人公の空想科学冒険小説
★宵町めめさんの描き下ろしイラスト付き!
将棋の知識ゼロでも読むことができます!この小説を書いたきっかけは、2015年、人間対コンピュータ将棋の戦いで、初めて将棋ソフトが人間に勝利したときに、ソフト開発者が言ったコメントが発端です。「勝って嬉しいとかはありません。最後まで電源が切れなくてよかった。それだけですね」 この言葉がずっと頭に残っていました。生とは何か、機械とは何か、人間とは何か? お話の始まりは、人格化された将棋AIを構成するとあるメモリが霧の中で彷徨うシーンです。彼に何が起きたのか?人と機械(AI)の行く末は? 巻末には「SIX」の英語版「Into the Fog」が掲載されていますす。比較的やさしい英語で書かれているので、辞書なしで読めると思います。お楽しみください。
第1章 SIX(日本語)
第2章 ROC(日本語)
第3章 NINE(日本語)
おまけ)Into the Fog(英語:左開き) This is a science fiction story written in easy English based on "SIX".
(Kさん)業平心さん「鉄筆少女」は「十八歳の原点」だった。泣けた。細やかな描写。アリアリ浮かぶ情景。物語世界に埋没。この時代特有の匂いが好き。おきつとカコの、美しい思い出を、共有させてもらえた気分。SF系も好きですが、リアル系のこの味は格別。ラストも!いがった!
(Aさん)業平心「鉄筆少女」これもタイトルが良いですね。鉄筆という言葉が持つ、強さ、硬さに、少女という言葉をぶつけてくる潔さ。読む前からテンションが上がります。タイトルは、もっと太く、大きくするかなと思いましたが、読み終えたら、これくらいの細さでも良いかもと思い直しました。
(Yさん)鉄筆少女は夢に対する解釈が興味深かった、そして鉄筆ってそうかそれか。
(Nさん)鉄筆少女、良かったです(´▽`)ノ
(書評)名前のない喫茶店-より
(Aさん)業平心さんの『名前のない喫茶店』は、秋山さんの小説との連なりで読むと、雰囲気がよくて面白かった。喫茶店で大人な会話ができるようになりたい!と思うだけに。あとがきの、名前のない喫茶店がもうないというところに、過去の物語特有の色が感じられて、読後感が良い。
(Kさん)『名前のない喫茶店』業平心さん】高校生の時に京都のロック喫茶巡りをした夏を思い出しました。当該の「名前のない喫茶店」にも行ったハズ!当時の大徳寺境内の宿や京都の夏の風情を山ほど思い出しました。喫茶店文化って時代の大事なBGMだなと再認識です。
(Iさん)業平心さん『名前のない喫茶店』リアクション元の作品とはまた違うザラついた感じが気持ちいい。
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